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松尾法律事務所
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大入島埋立問題・知事への申入書

下記の文書は,平成17年1月の埋立工事の再開前である平成16年末にに住民から県知事に当てた申入書です。住民が埋立に反対している理由の骨子が記載されています。
 
申 入 書

平成16年12月26日

大分県知事 広瀬勝貞殿

佐伯市石間区長 清 家 太
石間区民一同

第1 申入の趣旨
石間浦を埋め立てる計画を白紙撤回することを求める。
第2 申し入れの理由
このたび,大分県は,埋立区域を縮小した上で,埋立を強行しようとしていますが,やはり埋立には絶対に反対です。以下に理由を述べます。
1 石間浦に埋立地は必要ありません
埋立免許出願の際,県は埋立の目的として,①宅地を造成すること,②緑地公園や運動公園を整備することを掲げています。しかしながら,大入島は過疎地であり多くの空き地・空き家がありますので,わざわざ埋め立てをして宅地を造る必要はまったくありません。また大入島の堀切には,すでに立派な緑地公園や運動公園が整備されています。石間浦に,埋立地は必要ないのです。
にもかかわらず,最低でも数十億円を要するとされる本件埋立計画を,緊縮財政を推し進めている大分県が行わなければならない理由はまったくありません。
2 他の海ではなく,石間浦を埋め立てるその必然性がありません
佐伯港を港湾として整備することを妨害するつもりはありませんが,なぜパルプ廃液で汚染された土砂を,きれいな石間の海に持って来るのでしょうか。他の場所で,埋立に適した海岸はたくさんあるはずです。きれいな海が残っており,豊かな生態系を残している石間の海に,なぜ汚れた土砂を持ってくる必要があるのでしょうか。汚れた土砂で,きれいな海を埋め立てる,このような矛盾した計画がどうして認められるのでしょうか。
さらに,埋立区域の目の前は,大入島で唯一の小学校があります。小学校の前のきれいな海を汚染された土砂で埋立てて,子どもたちの自然と共生する精神を培う教育環境を奪う,このようなことが認められるのでしょうか。
私たちは,古くから,石間浦で採れた貝類,藻類を食べて生活の糧とするなど,海と共に生活して来ました。縮小されたとしても,その埋立予定区域は,私たちが祖先の時代から,採貝採藻をして来た干潟であり,そこを埋め立てられると,私たちは採貝採藻を出来なくなります。よって,埋立は,私たちの生活そのものを破壊することになるのです。石間浦を埋め立てなければならない必然的な理由はないのに,私たちの生活の一部である石間浦を埋め立てることは,絶対に認めません。もし埋立を強行する場合には,体を張って阻止するつもりです。どうか,私たちの海に対する思いを理解してください。
3 子孫のためにも豊かな自然環境を残す必要があります
石間浦には,多種の絶滅危惧種が生息しています。そのことを指摘された大分県は,貝類の生息状況について再調査をし,希少生物保護を検討する旨の発表をしました。しかしながら,現在に至るまで大分県は環境を保全するための施策をまったく検討していません。
大分県は埋立計画を縮小することを検討しているということですが,埋立予定地は希少生物が生息する貴重な干潟です。計画の一部を縮小しても,現在実行に移そうとしている埋立工事をすれば,希少生物の生息環境を破壊することをさけることはできません。
大分県は,環境保護条例を制定し,自治体と施主に,環境保護義務を課しています。本件埋立においては,大分県は,自治体として,また施主として,二重の意味で環境保護義務を負っています。また,大分県は独自にレッドデータブックを作成し,希少生物の保護を図っています。本件埋立計画は,明らかにこのような大分県の基本的な施策と矛盾します。
4 以上の理由により,埋立には絶対反対しますので,埋立計画は白紙撤回してください。

以上
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