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松尾法律事務所
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イクメンと離婚と単独親権

2019-06-22
 「イクメン」という造語をつくり,男性の育児参加をもてはやす時代です。私が子どもの頃と比べても,私の方が断然父より育児をしているのはもちろんのことながら,同年代のお父さんと比べても,私は育児に関与してきている方だと自負しているところであり,育児をするのはごく「当たり前」の感覚にはなっています。
 ところで,現代は,3組に1組は離婚をする時代ともいわれています。個人の尊厳を尊重するということからすると,子供のためにDV夫からの暴力を耐え忍ばなければならないという考えは誤っていますし,離婚の件数が増加していることを必ずしも悲観する必要はないと思っています。
 しかし,離婚後の親権は単独親権であり,子どもがまだ小さければ,よほど問題がない限り,母親が親権者となることが圧倒的に多いのが実情です。「自分の方が妻よりしっかり育児してきたのに」「自分の方がしっかり子どもをかわいがってきたのに」との思いを持っている父親から子どもを切り離すことになります。
 国では,離婚後の共同親権制度をとっている他国の実情を調査研究中とされていますが,離婚後の共同親権にもいろいろと問題があり,共同親権とすれば,すべてが解決すると思っているわけではありません。
 とにかく,「イクメン」として賞賛される父親だったのに,親権者になれず,会いたいときにも会えなくなった非監護親となった父親に,同情してしまう事案が本当に多いと感じています。(このような事案において,父親側の代理人の時にそう感じるのはもちろん,母親側の代理人の時でもそのように感じるケースはたくさんあります。)

新潟水俣病義務付け訴訟東京高裁判決を活かせるように

2019-03-11
フェイスブックで3月8日に岡口基一裁判官が「送別会では、思い出に残った事件として、新潟水俣病行政事件を挙げておきました。」とつぶやいていました。
この投稿を読み,日弁連水俣病PTの一員として,せっかくのあの東京高裁判決を会長声明程度で終わらせずに,積極的に活かしていきたいと改めて思いました。
日弁連会長声明
この会長声明では触れていませんが,水俣病の可能性が50%を超えれば認定するとはっきり明言しているという点はとても使えるところです。私たちは今後もしっかりがんばっていきましょう。

岡口裁判官への分限裁判

2018-10-23
 岡口基一裁判官に対する分限裁判,心から残念です。
 
 岡口裁判官といえば,豊後高田出身。豊後高田市には独立簡裁がありますが,地裁では中津支部の管轄となるので,中津の弁護士にとっては自分の「営業範囲」の地域です。
 岡口裁判官は,私が弁護士になったばかりのときには福岡地裁行橋支部という1人支部の支部長判事でした。中津との市境(県境)を挟んで向こう側の吉富町や上毛町,豊前市などは行橋支部の管轄となるので,私もしばしば行橋支部に行くことになります。もっとも,岡口裁判官がいた頃は,まだあまり事件も持っていなかったので,おそらく,今は昔の集団審尋が行われていた個人破産の事件くらいしか,事件はかかっていないと思います。そのため,ほとんどお話をしたこともないのですが,当時,「あの要件事実マニュアルの岡口裁判官だ!」と思ったものです。
 また,日弁連水俣病PTに長年所属し,水俣病問題に取り組んできた私としては,新潟水俣病に関する昨年11月のすばらしい判決を出された裁判体のお一人としてもありがたく思ってます。(岡口裁判官が主任だったのかどうかは分かりませんが,あの判決に加わった裁判官のお一人というだけであっても,感謝です。)
 私は大分県弁護士会法教育委員会の一員として,大分県北地域を中心に積極的に出前授業にいっています。先週も,豊後高田市内のある学校に出前授業にいってきました。その授業の枕で,「高田は,中津支部の管内だから私たちもたびたびやってくることがあるので愛着があるし,我々の業界では有名人である岡口裁判官という裁判官の出身地という思いもある。」なんて話をしたりもしました。
 
 話に脈略がないですが,岡口裁判官については,私としては一弁護士として,要件事実マニュアルの著者であるという程度に気になっていたというレベルではなく,それなりに思い入れのある方だということです。
 その岡口裁判官が,しかもあの程度のツイートの内容で,戒告とならなければならない意味が分かりません。(私は理論派とは言いがたいですし,多くの大学の先生や弁護士などが書いていることはいずれもそのとおりだと感じてしまうので,私独自の理論的問題点に関する指摘などできませんが。)
 こんなことで戒告にしてしまう組織に,国民の基本的人権の判断などできるのかと心から思ってしまいます。
特に私ががっかりなのは,弁護士会から推薦され最高裁判事となった元弁護士である裁判官が何らの反対意見も出さずに全員一致となってしまっていることです。この件で,弁護士会から推薦した方で,誰も反対意見をいっていないということは,日弁連の推薦の在り方に大いに問題があるのではないかと思います。

観光地としての青森の魅力

2018-10-23
 日弁連の最大のイベントの一つと言ってよい人権大会は,毎年,ほぼ10月に開催されます。今年は青森市での開催でした。
 人生初の青森訪問であり,今後の人生でもまた青森行く機会などないかもしれません。シンポジウムにはきちんと参加しましたが,大会当日はいろいろとさぼりつつ,青森観光を堪能しました。
 青森では,入る店,入る店,どこもおいしく,値段もリーズナブルでした。人権大会の際に,全国各地の観光地に行くことが多いのですが,ガイドマップなどに載っている有名な場所はどこも「観光地料金」で,地方なのに割高感を感じることが多いのですが,青森ではそんなことは全くありません。どれもこれも感動的なおいしさな上,感動的な良心価格です。魚料理の好きな私は,もし青森に住んでいたら,毎日でも行きたいと思う魚屋さんもたくさんありました。
 行く機会があるとは思えないけど,家族で行くとしたら,青森に行きたいと心から思いました。
 
 ちなみに,地元大分で言うと,湯○院はあまりに「観光地料金」で何もかもバカ高く,地元の人間として,あまり行きたいという気持ちにはなれません・・・。

婚姻費用・養育費算定表

2018-09-12
今年5月17日のブログの続報です。
今の算定表基準では,生活保護基準すら満たさない場合も多く,改訂が望まれてきたところです。
 
ただ,基準が変わっても払ってもらえなければ意味がないので,執行の実効性を高めることも必要ですね。
また単なる逃げ得は許す必要はありませんが,ワーキングプアなど支払義務者の経済力の問題もあります。
基準を変えるだけでなく,周辺の議論なども必要でしょうね。
 
 
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(産経新聞)
養育費算定、見直し検討 社会情勢の変化考慮 最高裁司法研修所
 
 離婚する際に夫婦が取り決める子供の養育費について、最高裁司法研修所がこれまで裁判で広く活用されてきた算定方法の見直しを検討していることが27日、分かった。裁判の現場では、平成15年に裁判官らの研究会が発表した「簡易算定方式」が主流となってきたが、この間の社会情勢の変化も踏まえて再検討する。算定方法が見直されれば、裁判所の判断に大きな影響を与えそうだ。
司法研修所が今年7月から始めたのは「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」。東京、大阪家裁の裁判官4人を研究員に選び、研究期間は来年3月29日まで。5月中をめどに報告書をまとめる予定だが、公表方法などは未定だ。
離婚する際の子の養育費は本来、夫婦が話し合って決めるが、まとまらなかった場合は家裁などに養育費支払いを申し立てることになる。養育費の算定方法は法令で定められているわけではなく、それぞれのケースで離婚理由など諸事情を考慮した上で複雑な計算をし、時間もかかっていた。
こうした中、15年に裁判官らの研究会が法律雑誌に「簡易算定方式」を発表。夫婦の収入と子供の年齢や人数ごとに、子供と離れて暮らす親が支払うべき養育費の目安を表で示したもので、素早い紛争解決につながるとして、裁判の現場に広く定着してきた。
 
 簡易算定方式では、夫婦の総収入から税金や経費を差し引いた金額を「基礎収入」として養育費を算出する。基礎収入は総収入の4割程度となるため、「養育費が低すぎる」「税率改正や物価変動を反映していない」という指摘もあった。

 これに対し、日本弁護士連合会が28年11月に発表したのが「新算定方式」。総収入から差し引く経費に住居費や保険料を含めないことで、基礎収入が総収入の6、7割程度となり、算出された養育費が簡易算定方式の約1・5倍となる内容だ。

 ただ、「簡易算定方式でも減額を申し立てる親は多い。新算定方式は『養育費を増やす』という結論ありきで、支払えない人が増えるのではないか」(ベテラン裁判官)との声もある。

 現在、裁判所内は簡易算定方式が主流だが、弁護士が依頼者の状況に応じて簡易算定方式だけでなく、新算定方式を主張することも少なくない。

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早稲田大の棚村政行教授(家族法)の話

 「司法研修所の報告がまとまれば、現場に一定の指針を与え、混乱を回避することができる。日本の養育費は諸外国に比べても、最低生活費を保障していない。諸外国のように、裁判所だけでなく厚生労働省、財務省など関係機関が連携しながら、定期的な改訂が必要だ。併せて、養育費を確実に取り立てる方法についても議論されるべきだ」

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【用語解説】養育費と婚姻費用

 養育費は、子供を引き取っていない親が支払うべき費用。婚姻費用は、家庭生活を維持するために必要な費用で、別居中の生活費も含まれる。民法は、子と離れて暮らす親に「配偶者や子に自分と同程度の生活水準を保障する義務」(生活保持義務)を定めている。離婚の際に具体的な金額は話し合いで決めるが、まとまらなければ、養育費支払いを命じるよう求める家事審判などを申し立てることができる。

 

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