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松尾法律事務所
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ハンセン病療養所を訪問して

2018-09-12
 平成13年のハンセン病国賠訴訟熊本地裁判決当時はまだ司法修習生だったということもあり,特にハンセン病問題とは関わってきませんでした。今,ハンセン病家族訴訟弁護団の末席に加わらせていただいているということもあり,全国各地のハンセン病療養所に行く機会が増えました。
 そんなときに,私自身には全く関係ないけどちょっと誇らしいことがあります。ハンセン病療養所に設置されている資料館では,どこでも,ハンセン病の特効薬であるプロミン(吉富製薬の商品名「プロトミン」)の空アンプルが展示されており,製造者名として吉富製薬と明示されています。(写真は菊池恵楓園の展示です。)
 吉富製薬といえば,中津市のすぐお隣というか,中津市街と市街続きである吉富町に工場のあったあの吉富製薬です。(今は合併などを繰り返して,会社が分かりにくくなっていますが。)親戚や知人,ご近所さんなどにも吉富製薬で働いていた方が数多くいます。知り合いが数多く勤めていた吉富製薬で,プロミンがつくられたことは,資料館で見るまではぜんぜん知りませんでしたが、うれしく感じてしまいます。

 身柄解放に向けた弁護士会の取り組み

2018-06-23
  今月1日から勾留された被疑者すべてが国選弁護の対象となりました。
勾留とは,簡単に言うと、捜査機関が逮捕から72時間以内に釈放したくないときに裁判所の判断に基づいて身柄拘束を拘束することです。今までは,逮捕され,72時間を超えるような長期間にわたって身柄拘束されていても,弁護人がつかないことがありえました。というより,むしろ,平成18年より以前は,起訴されてからは国選弁護人がつくものの,勾留段階では一切国選弁護人はつかず,平成18年以降,被疑者国選の対象事件が拡大してきて,とうとう,今月1日から全件が対象になりました。
これを機に,九州各県内で,全件勾留に対する準抗告運動が展開されることになりました。(佐賀県弁護士会のHPにこの運動がアップされています。)
早速,準抗告が認められ,勾留決定が取消された情報に接しています。「とりあえず,身柄をとっておきたい」との捜査機関の思いを準抗告審が慎重に判断してくれていっているとは思います。
個別の勾留が取消された事案を見ると,弁護士としては,「この弁護人,すごくよくぞここまでがんばって準抗告通したな~」と思う事案もありますが,たいていは「よくこんなもん勾留決定したな」と思う事案の方が多いです。準抗告審が,弁護人の申立を真正面から受け止め,しっかり判断してくれているのはうれしいですが,安易な勾留決定をできるだけ慎むようにして欲しいと感じます。
私も,勾留決定に対する準抗告は結構する方でして,4月も,5月も準抗告が認められました。こんなに短期間で連続で認められたことははじめてのことで,だいぶうれしかったです。
まだ運動期間もありますし,運動期間が終わってからも,これはという事件については積極的に身柄解放に向けてがんばっていこうと思います。

 養育費・婚姻費用の算定表

2018-05-17
 最高裁が養育費等の算定表に関する研究をはじめ、従来の方式が改められる可能性が出てきたとのこと。
 義務者の分だけ住居費を固定費と認め、権利者の住居費をまったく考慮に入れていない現行の算定方式については、生活保持義務の観点から問題があることは当たり前だと思う。
 それにしてもこの記事を見てびっくりしたのは、まだまだ日弁連方式による認容例が少ないということ。私は、大分家裁中津支部での離婚訴訟で、従前の算定表で3万円のところを、日弁連方式に基づいて計算をし、4万4000円が認められた判決をもらったことがある。
 
「母子家庭貧困の一因」養育費算定、最高裁設置機関が見直し検討
養育費などの決め方について、最高裁の設置機関が見直しも視野に研究を始めることがわかった。多くの裁判所が使っている計算方法は迅速に額を算定できるが、最低限度の生活を保障する生活保護より低くなる場合があり、「母子家庭の貧困の原因」との指摘もある。日本弁護士連合会が2年前に提案した計算方式を採用する司法判断も出始めており、現行方式が改められる可能性が高まっている。
現行方式、生活保護費を下回るケースも
母子3人の生活費は月8万9000円――。夫の不貞行為を理由に、5歳と3歳の息子を連れて別居した大阪府内の30歳代の女性が夫に生活費の支払いを求めた審判で、大阪家裁が昨年9月に示した金額だ。
女性は言葉を失った。自身が暮らす自治体で同様の母子世帯が受け取る生活保護は14万円。「夫が悪いのに、なぜ私たちがこんな目に遭うのか」
今回の場合、夫は民法上、妻子に自分と同程度の生活を保障する「生活保持義務」があるとされる。だが、夫は生活費を支払っても手元に約25万円が残るという。
女性は大阪高裁に抗告したが、認定額は10万円だった。女性は「生活保護よりも低い。どこが同等なのか」と憤る。女性の代理人弁護士も「自治体に生活保護を申請しても、夫がいることを理由に、断られる可能性がある」と訴える。
ひとり親世帯の半数以上、貧困状態か
家裁や高裁が金額を決めるのに用いたのが「簡易算定方式」という手法だ。養育費や、夫婦が別居中の生活費について、収入や子どもの数などを基に、一定の計算式ではじき出す。
同方式は東京と大阪の裁判官らによる研究会が2003年に法律雑誌に発表した。本来、養育費などは夫婦が協議して決めるものだが、現実には主張が対立してまとまらないことが多く、新生活に支障が出るため、素早い解決につながるとして各方面に浸透していった。
ただ、収入から交通費や交際費など7費目に及ぶ仕事関連の経費や住居費、保険料を差し引くことを認めている。除外額は5~7割となり、支払額が低くなる欠点も指摘されている。
厚生労働省によると、16年に離婚した夫婦は約21万組。1990年代後半から3組に1組が離婚する流れが続いている。離婚後の生活は厳しい。15年の厚労省の調査では母子家庭などひとり親世帯の半数以上が貧困状態にあるとされた。
日弁連は12年、主に夫に有利な傾向となる同方式も貧困の一因と指摘。16年には、収入から除外できる金額を見直したほか、子供の年齢や人数に応じ、費用を細かく算出するなどした算定方式を公表した。この方式だと生活費や養育費は現行の約1・5倍に増える。
夫と母子の格差、縮めようと…
日弁連によると、審判などで当事者が新算定方式の適用を求めたケースは少なくとも43件あり、このうち2件は家裁が採用した。
名古屋家裁は昨年11月、別居中の生活費が争われた審判で、簡易算定方式だと約16万円となるところを、23万円に増額。同12月には、福岡家裁も養育費を新算定方式で算出した。
夫と母子の著しい格差を縮めようとする動きは広がっており、最高裁が設置する司法研修所も今年度の研究テーマに生活費や養育費を選んだ。現役裁判官らが簡易算定方式の妥当性を検討する。過去の研究では、DNA鑑定の積極活用や、名誉 毀損きそん の賠償額の平均基準額などを打ち出し、その後の裁判所の判断に影響を与えている。今回の研究結果も、各家裁などが利用するとみられる。

棚村政行・早稲田大教授(家族法)の話「現行方式は夫に一定の収入があっても、母子は生活保護以下になることが多く、問題だ。離婚が増え、子どもの貧困は深刻な社会問題となっている。裁判官だけでなく、日弁連や関係省庁、ひとり親の支援団体も加わり、数年おきに実態に即して基準を見直すべきだ」

飯塚事件 東京集会を終えて

2017-11-06
ちょっと前の出来事になりますが,10月20日に,東京の水道橋で飯塚事件の集会を行いました。
飯塚事件の德田弁護士,岩田弁護士の両共同代表からの説明のほか,本事件で協力をしてくれている学者の先生方からのご説明もいただきました。
決して広い会場ではなかったということもありますが,会場は満席,立ち見も出るほどで,飯塚事件に対する関心も非常に大きいことを実感しました。刑事司法制度に疑問を持っている某有名映画監督も来てくれていて,とてもうれしく思いました。死刑制度や再審制度については人権上も,制度論的にも問題がありすぎるので,いろいろな場で今以上に情報を発信していただければありがたいです。(映画を作ってもらえたら,もっとうれしいですが。)
東京集会がこれだけの盛会であったということに照らせば,我々弁護団がもっとがんばって,情報発信をしていく必要も痛感したところです。
ツイッターより https://twitter.com/iidukasaishin
 

中本日弁連会長が谷間世代を見捨てると公言した日

2017-10-28
 いくつかの弁連大会では日弁連執行部との意見交換会を設けているところがあり,九州弁護士会連合会でも数年前から意見交換会をやっています。
 昨日,10月27日に今年の九弁連大会が大分で行われました。
 今年の意見交換会では,谷間世代問題がテーマの一つとなっていました。谷間世代とは,司法修習中に給料がもらえた司法修習期64期までと,給料がもらえるようになる71期以降の「谷間」である平成24年頃から平成29年頃に司法修習をした65期から70期に修習をした世代のことをいいます。
日弁連は,給費制制度が復活するように会を揚げて活動し,従前よりは給付水準は下がるものの,給料が出るようになりました。しかし,谷間世代については,給料は出ず,修習中の生活費については,貸与されていました。要するに借金しているわけです。借金の返済は平成30年からはじまります。
 今回テーマとして取り上げられたのは,谷間世代だけ不利益を被るのは不公平なので,返還の免除を受けられるように,会として取り組むべきではないかと考えた方から提出されたものと思います。
 これに対する中本日弁連会長の回答は,あまりにもひどいもので,がっかりさせられました。
 中本会長は,給料の支給が復活するのは,法科大学院への入試や,司法試験の受験者が下げ止まらならいので,優秀な人材が法曹になってもらえなくのを防ぐというのが制度を変える理由なので,すでに法曹となっている者については,そのような理由はあてはまらないと言いました。また,71期以降の復活のために日弁連として活動してきた感触として,谷間世代の返還免除まで認めさせることは最高裁や財務省を説得するのは困難だ感じているからだtともいいました。日弁連としては,これまで給費制の復活に全力を挙げて取り組んできたし,その活動の中で感じていることを理解して欲しいとも切々と訴えました。
 この回答を聞いて,その場の会場にいた弁護士は,みながっかりしたと思います。そんなことは,みんな知っています。国が,そう簡単に免除してくれると思っている人はほとんどいないと思います。
 しかし,谷間世代も我々の仲間であり,谷間世代だけが不公平な差別を受けなければならない理由はなく,困っている谷間世代を助けるために一緒に活動をしていくという気持ちを持ち合わせていないことに本当にがっかりしました。しかも,給費制は63期までで,64期から貸与制に切り替わることになるところだったのを当時の宇都宮執行部はあきらめず,目張り強く活動したおかげで,64期までは給費制が維持されたことも多くの弁護士が知っています。なかなか良い感触がないからといって,最初からあきらめるべきことではないことはそのときの活動からも多くの会員が分かっていることだと思います。
 現在の中本日弁連執行部は,65期から70期の弁護士は,仲間ではなく,一緒に活動するつもりはないっているに等しいと思います。しかも,65期から70期だけ不公平で不平等な扱いを受けたにもかかわらず,そのような不平等を中本会長は小さなことであり,見捨てろといっているにも等しく,本当に弁護士会のトップが言ってよいことなのか,甚だ疑問です。
 まもなく日弁連会長選挙の時期がやって来ます。次期会長予定者には,公聴会などで,この問題に質問し,どのような態度をとるつもりなのか明らかにさせる必要があると思いました。
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