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松尾法律事務所
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東京都知事

2017-02-05
 選挙が終わってからだいぶ経ちましたが,いまだに,マスコミでは結構知事のことを持ち上げています。
 我々,水俣病のことについて関わってきた人間にとっては,あの知事に対してはどうしても懐疑的にならざるを得ません。2004年最高裁水俣訴訟最高裁判決があったときに彼女は環境大臣であり,官僚の言いなりになり,まったく政治的な手腕は発揮しません(できません)でした。
 あのときのひどさを覚えている者としては,ちゃんとできるのかどうか,信用はおけません。

セカンドオピニオン法律相談の難しさ

2016-12-26
 すでに他の弁護士に相談したことがある、すでに他の弁護士に依頼している事件で、セカンドオピニオンを聞きたいと相談にやってくる方が相当数いらっしゃいます。複数の弁護士に意見を気軽に聞くことができるようになったというのは、弁護士の敷居が低くなっている表れだと思いますし、私もよく相談をお受けしています。
 しかし、弁護士にとっても、相談者にとっても、セカンドオピニオン相談は難しいと思うことが非常に多いです。
 そこで、一般の相談者の方において知っておいた方が良いと思うことがあります。それは、相談に乗ってくれた弁護士が、結論だけではなく、どういう内容の説明・回答したかまでを含めて、きちんと考えた方が良いということです。
 一般の方が複数の弁護士に相談に行き、この事案であれば、ある弁護士は勝つという言い、ある弁護士は負けると言ったとします。その場合は、相談者の方が、勝つと言った弁護士に依頼するのは当然のことと思います。しかし、せっかく、複数の弁護士に相談したのですから、負けると言った弁護士が負けると考えた理由についても、勝つと言った弁護士にも質問した方が良いと思いますし、それをしなければ、複数の弁護士に聞いた意味が半減してしまうと思います。
 最近、私に相談してくれた方が、しばらく経ってから、「以前相談したとき、松尾弁護士は、裁判をするには不利な点があり、せいぜいわずかな金額を和解で得ることができるくらいだろうと言われました。それで実は、別の弁護士に相談に行きました。その弁護士はおそらく勝つし、希望どおりの金額を取れるだろうと言ってくれたので、その弁護士に頼みました。しかし、一審判決が出たのですが、全面敗訴に終わってしまいました。控訴していくらかでも取れるようにしたいのですが、今からでも松尾弁護士にお願いできるでしょうか。」と言ってくることがあります。こういうことがあると、私は、負けると言っている弁護士に頼む必要はなく、別の弁護士に頼んだのはある意味当然としても、私が負けるといった理由についてきちんと私の次に相談した弁護士にもぶつけていれば、無駄な裁判をしないでもすんだかもしれないと思ってしまうのです。

銀行のサラ金化

2016-10-11
 平成18年に貸金業法が改正され,いわゆる総量規制が定められました。改正貸金業法は平成23年に施行されましたが,その結果,消費者破産が激減しました。いかに,サラ金が過剰貸付を行ってきたか,身をもって感じてきました。しかし,近時は,銀行がサラ金化し,元の木阿弥になってきています。大量消費者破産の再来もあるかもしれないと感じるようになってしまっています。
 ちょっと意味が分かりづらいと思うので,具体的に説明します。貸金業法での総量規制というのは,年収の3分の1までしか,貸金業者から借り入れすることができないという制度です。この制度ができるまで,せいぜい年収200万円前後の人でも,普通に500万円近くもサラ金から借金しまくっていまして,大量の破産者を生み出していました。平成10年代半ばまでは,消費者破産の審尋は,集団審尋といって,会議室に何十人も集められ,一度に手続を終わらせるというのが常態化していました。
 ところが,総量規制が施行されると,そのような貸付ができなくなりました。その結果,多額の借金をすることができなくなるので,破産する人が激減したわけです。我々消費者側の弁護士は,昔から過剰貸付の禁止を問題視してきましたが,裁判所は無視し,過剰貸付の禁止という条項が空文化していた状態でした。(一般的な感覚ではどうして金利の高いサラ金でたくさん借りるのか分からないかもしれませんが,生活に困ってほんの数万円を貸してくれと申込みをすると,サラ金は自動的に30万円とか50万円という大金を貸し付けていました。ほんの数万円で良いからと言っても,「どうしてもいらなければ繰上返済すれば良いから」などと言い,無理矢理押しつけるわけです。)しかし,総量規制によって,過剰貸付自体ができなくなりました。これで,破産する人の数は激減しましたし,破産する人でも,借金の総額自体が小さくなっていきました。
 ところが,最近,また情勢が変わってきました。債務整理の相談に来る方の借金総額が収入に比して大きくなり,破産せざるを得ないような状況が増えて行っているのです。総量規制が廃止されたわけではないのに,どうしてそのようなことが起こったかと言えば,これまでサラ金しか見向きもしなかった低所得の消費者に対して,銀行が積極的に貸し付けをしはじめたからです。(銀行は銀行業法等によって規制されており,サラ金などのように貸金業法の規制対象ではありません。)どうして銀行がそのようなことをするかといえば,①マイナス金利政策を始め銀行の収益態勢が落ちていることと,②単純な銀行のサラ金化があるのではないかと思います。
 銀行のサラ金化については,手口としては,親会社の銀行が貸し付け,子会社のサラ金が保証人となって,消費者に貸し付けをするという手段をとります。銀行は貸金業者ではないので,年収の3分の1が上限という総量規制の対象外ですので,いくらでも貸し付けできます。しかし,いざ顧客が支払えなくなると,すぐに保証人である子会社のサラ金が支払をし,サラ金から顧客に支払を求めます。要するに,銀行を隠れ蓑にしてサラ金が貸し付けをしているだけです。このような手法は,レイクを中心に,総量規制施行当初から危惧されていました。そして実際にレイクがそのような営業手法をはじめ,プロミスなどが追随するところとなりました。その結果,また,多額の借金を抱える破産者が増えて行っているのです。
 正直なところ,レイクについてはそんなやり方をするのは当然に予想できました。しかし,プロミスについては,三大メガバンクのひとつである三井住友銀行がそのようなことをやるわけですから,メガバンクのプライドとして子会社とはいえサラ金とは一線を画すのではないかという淡い期待を持っていました。ところがふたを開けてみると,そんなことはありません。儲かるのであれば,大量の破産者を出すことになろうとも,消費者を食い物にすることになろうとも,儲かる方法をとってきたわけです。
 総量規制がザル法であったことがはっきりとしてきましたし,企業に,法律にない消費者保護を期待しても無意味だということもよく分かりました。
 ところで,近時は,消費者被害の加害者は,このことをよく知っています。詐欺の加害者は,被害者にお金がなければ,昔は,サラ金に行かせて借金をさせていましたが,現在は,銀行に行かせて借金させます。プロミスの自動契約機で契約する際も,三井住友銀行で借りるのか,プロミスで借りるのか選ぶことができるようになっているらしいですが,詐欺の加害者は,三井住友銀行で借りるように念入りに指示をするらしいです。プロミスで借りれば年収の3分の1しか借りられないけど,三井住友銀行で借りれば年収の3分の1を超えて,いくらでも借りることができますからね。

福井人権大会宣言

2016-10-09
 福井市で行われた人権大会に行ってきました。そのときの感想について,長文ですが,あまりにも驚いたことがあったので,ブログで紹介しておきます。
 例年は,人権大会前日に行われるシンポジウムには参加しますが,人権大会当日はサボって観光に行くことの方が圧倒的に多い私です。しかし,今年は死刑廃止に関する宣言について議論されることになっていたので,きちんと大会当日も参加してきました。
 私自身は,裁判は,人が裁くものである以上必ず間違いは生じうるものであり,えん罪の危険性がある以上,死刑には絶対的に反対という立場です。飯塚事件の弁護団の一員ですし,ハンセン病の問題を勉強してきて,菊池事件に触れてきたということもあります。日本でも死刑事件で再審無罪となった事件が4件ありますし,袴田事件の例もあります。戦後直後の混乱期だけでなく,平成に入ってからでも,(死刑事件ではありませんが,)足利事件や東電OL事件などといったえん罪事件があります。
 えん罪によって無辜を死刑に処すことは,国家が,死刑の名の下に,普通の市民を殺人してしまうことにほかなりません。そんな危険性があるのに,死刑など残していてはいけないと思うのです。
 今回,人権大会での反対意見を聞いていて,私の中でもとても議論の整理(気持ちの整理)ができたと感じました。

 今回,強い反対論を述べた多くの方は,とても感情的で,理論的ではないように感じてしまっていました。しかし,ずっと聞いていると、ある意味,感情的に受け取られるというのはとても正しい立論であり,理論的に一貫していると感じるようになりました。なぜなら,反対論は,犯罪被害者の被害感情に基づいて反論をしているのであり,理屈の部分というより,感情の部分に根ざしているからです。被害感情は,まさに「感情的」であり,理屈でないからこそ説得力があると思ったのです。
 弁護士・弁護士会としても,犯罪被害者に寄り添い,被害者感情を理解した被害者支援活動を積極的にやっていかなければならないと強く感じました。(ちなみに,私自身田舎の弁護士なので何でもやります。刑事事件専門とか犯罪被害者支援専門などということはありません。刑事事件は数多くやっていますが,犯罪被害者支援活動もします。被害者の代理人として,加害者に対する損害賠償請求訴訟もやってきています。)
 ところで,死刑存置の意見を述べる方で,無理に理論的に展開しようとしたのか,あまりにお粗末な意見になってしまった方もいました。それらの意見は,むしろ,死刑存置の意見を持っている方も,「引いてしまう」ようなものもあったと感じました。
 特にひどかったと私が感じた意見につき3つほど紹介します。①えん罪が生じるのは弁護人の責任であること,②えん罪が発生した場合に真犯人を弁護士会が捜し出すべきこと,③母数の取り方によっては死刑廃止は世界の趨勢とはいえないことといったことです。詳細は以下で触れますが,この3つについてはすべて違う弁護士が述べたものです。被害者感情について,心に響く意見を述べた先生方の立論を台無しにする方も何人か出てしまったと感じざるを得なかったわけです。
 ①えん罪が生じるのは弁護人の責任
 これはあまりの暴論で驚いてしまいました。本当に弁護士なんだろうか,司法試験に合格したんだろうかと不思議に思いました。その弁護士の意見は,えん罪が発生するのは,弁護活動が悪かったのであり,きちんと弁護活動がなされていれば無罪になるのでえん罪など発生しなかったのであり,無罪を勝ち取れなかった弁護人の問題を棚に上げて,死刑廃止という不利益を犯罪被害者に押しつけるなというのです。
 この弁護士は,刑事の弁護人だけでなく,民事訴訟の代理人すらやったことがないのではないかと思ってしまいます。どんな事例でも,手持ち証拠が不十分であったとしても,必ず,真実に即した事実認定を裁判官にさせることができるなどと思っているのでしょう。しかし,そんなことなどできるありえません。
 特に刑事事件では,捜査機関に証拠が偏って存在していて,弁護人や被告人は有利な証拠があるかどうかすらアクセスることができません。(刑訴法の改正によって証拠リストの開示がなされることになることになっていますが,しかし,現段階では改正法はまだ施行されていませんし,リスト開示がどのような運用になるか不透明です。)これまで多くの事件で,刑が確定した後である再審段階になってはじめて,被告人にとって有利な証拠が隠されていたことが明らかになった事件など数多く存在します。さらには証拠がねつ造された(可能性のある)例については,村木さんの郵便制度不正事件の例をはじめ,静岡地裁が言及している袴田事件もあります。有利な証拠があることすら弁護人は分からないことが普通なのに,えん罪が発生するのは弁護人の責任なのでしょうか。
 また,捜査機関は,世界に悪名高い代用監獄を利用し,真実に反する自白を迫ることがあるわけですが,取調べは,可視化されておらず,弁護人の立会いも認められていません。可視化も,弁護人立会権もない取調べなど,多くの国ではできません。密室で,自白を強要して調書が作成されていくことも,弁護人の責任なのでしょうか。
 捜査過程で虚偽の証拠が作成され,検察官にとって不利な証拠はかくしておいて良い制度としているということは,国連をはじめ世界各国から批判されているし,日本の報道機関でも頻繁に報道されてきている問題です。にもかかわらず,えん罪が発生するのは弁護人の責任と言い切ってしまう弁護士が存在し,人権大会にやって来て,そのようなお考えを述べることがあるなんて,予想だにできませんでした。
 ②えん罪が発生した場合に真犯人を弁護士会が捜し出すべきこと
 この意見をいった弁護士は,まず「えん罪は犯罪被害者も望んでいない」ということから意見を切り出しました。その上で,「日弁連は,再審無罪が確定した場合など,えん罪被害者が釈放されて良かった,無罪が確定して良かったで終わってはいけない。真犯人を捕まえるために,日弁連は活動すべきだ」というのです。弁護士・弁護士会には,捜査権限などありません。えん罪が分かって再捜査すべきは,捜査機関である警察・検察です。
 この点,えん罪が確定したときの警察幹部のコメントなどが匿名で新聞に取り上げられることがあり,「今でも真犯人はあいつだと思っている。無罪になって悔しい」などといった趣旨のことが載ることがあります。それを読んで,「何言っているんだ。そんなことを言っている暇があれば,きちんと真犯人を捜し出せよ」と思ってしまいます。
 そのような考えが前提にあるからか,再捜査をはじめたという例は聞いたことがありません。公訴時効が来ていれば仕方ない場合もあるかもしれませんが,時効になっていないのに,捜査をしないのはおかしいと思います。
 その上で,捜査機関すら捜査しない状況下において,捜査権のない弁護士会が捜査しないのだから,弁護士会には死刑廃止をいう資格がないなどとは意味が分かりません。
 ③母数の取り方によっては死刑廃止は世界の趨勢とはいえないこと
 この意見は,多くの国で死刑廃止されていっていること,先進国で死刑が残されているのは日本のほかはアメリカの一部の州があるくらいであること,死刑を廃止している先進各国の国民からすると日本は野蛮だと捉えられることになることに対する反論です。意見をいった弁護士は,国の数を分母にして死刑廃止国が世界の趨勢といっているが,人口を分母にとると死刑廃止国は世界の趨勢とはいえない,母数の取り方によって,死刑廃止が趨勢かどうかはいくらでも変えられるのだから,世界の趨勢などというのはおかしいというものでした。
 この意見の前提を理解すれば,この意見が何を言いたいのか分かるんですが,これもびっくりする意見です。その前提とは世界最大の死刑存置国の1つが中国だということです。また,執行数は非常に少ないですがインドも存置国です。人口の多い中国やインドが死刑存置国だから,人口比で見ればまだかなりの割合で死刑が残っているといっているわけです。
 そして「母数の取り方」を変えるということについていえば,日本の位置する東アジアに目を向けると,世界最大の死刑国の中国だけではなく,姿勢が悪かったというだけで政府高官が死刑にされたという北朝鮮もあります。韓国が事実上の死刑廃止国なだけで,東アジアでは死刑が残っている国ばかりです。中国や北朝鮮といったような国に肩を並べるべきといっているのかと疑わしく思ってしまいます。
 ともかく,この意見は中国の死刑制度を肯定しない限り出てこない意見ですが,中国では贈収賄や薬物犯罪でも死刑になります。犯罪被害者が発生しない犯罪でも死刑になるわけです。中国の死刑を肯定するということは,犯罪被害者の被害感情に根ざした意見ですらなくなってしまうわけです。本当に,この意見を述べた方は,それで良いのでしょうか。
 さすがに人権大会では,驚くべきこの3つの意見には,あえて誰も反論までしていませんでした。私は,反対意見にも傾聴すべき点があると感じたので,反対意見の多くがダメだったとまでいうつもりはありません。しかし,マスコミで長時間の議論と紹介されていたけれども,議論は出尽くして,ここまでどうしようもないものまででていただけというのが実感です。

法テラス利用による法律相談後の私選受任

2016-08-23
 このホームページの別のページを見ていただいたら分かるとおり、私は法テラスを積極的に活用していますが、利益相反などを理由にお断りせざるを得ないこともあります。その場合に他の事務所に相談に行ったところ、法テラスを利用しての法律相談は受けてくれそうだけれども、受任まではしてくれないと言い、困って舞い戻ってくる方もいらっしゃいます。(もちろん、私としては、お受けできない事件はお受けできないのですが・・・。)
 そのような際に、「忙しいので法テラスを利用しての契約はできないけど、法テラスを利用せず、直接の契約だったら受けられると言われた」とたまにお聞きするところです。
 しかし、法テラスを利用して法律相談をした弁護士は、原則として受任者にならなければなりません。法テラスの規定では、確かに、忙しいことを理由にして断ることはできることは明記されていますが、それは、直接の契約ができないくらいに忙しい場合であることが想定されていることは明らかです。なぜなら、その規定の別の条項で、法律相談担当者が、法テラスの地方事務所長の承認がない限り、直接委任契約を締結するよう勧誘してはならないと定められているからです。
 したがって、法テラスを利用しての法律相談を受けてくれるのに、委任契約をしてくれないなどと「困った弁護士」にあたった場合は、下記の法テラスの規定を読むように言ったらどうでしょうか。
 
民事法律扶助業務に係る事務の取扱いに関するセンターと弁護士・司法書士等との契約条項(http://www.houterasu.or.jp/cont/100766667.pdf)の8条と16条2項
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